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【サイン本】通り雨のように/ミッキーの薬屋(特典付き)
¥800
「お墓の前で手を合わせながら、私は考えた。もし私が彼女とつきあっていたら? だが、そんな私の問いかけには意味がない。彼女は結婚し、離婚し、娘がいる。私も結婚し、離婚し、子供はいない。正しい人生、間違っていた人生などない。ただ、人生がある。通り雨のように、人の営みは過ぎ去っていく」 主人公の脳裏を通り過ぎていった人生の断片。その意味を問う超短編「通り雨のように」 「自分の残りの時間がなくなっていく。人間は誰でも未来に向かって生きる。それはそのとおりだとしても、未来に期待が持てなくなるのもまた事実だ。かと言って、過去も楽しいことばかりではない。むしろ舌を噛んで死んでしまいたいくらい恥ずかしいことばかりである。恥の多い生涯を送ってきましたと有名作家のように言い切れるほどではないけれど、私もそこそこ恥の多い生涯を送ってきたと思う」 80年代、親しかった女のその後を追う。私が本当に愛した女は誰だったのだろう? 軽妙で深刻な回想小説「ミッキーの薬屋」 「たまたま八十年代を舞台にした小説が揃った。八十年代の中ごろからバブルが始まり、日本はイケイケどんどんのイメージになったが、私は地味な日々を過ごしていた。東京の中心にある職場に通っていたにもかかわらず、バブル景気の影響をまったく受けなかった。誕生日にディスコを借り切ってパーティをする学生の話や六本木でタクシーを捕まえるのは困難だとかそういう話を聞いたが、私には別世界の話だった」 (あとがき「私的80年代、90年代」)。 緒真坂の最新作品集。 めがね書林購入分のみ、特典が付きます。
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【サイン本】1979年の夏休み/下半身の悪魔(特典付き)
¥1,518
にわか雨のように過ぎ去っていった、たった一週間の忘れられぬ記憶。 ふと思い出す。ぼくは十八歳だった。大学教授に連れられてやってきた避暑地の山荘で、ぼくは音楽家志望の女子に出会う。最初で最後の異性との恋。 奇妙で、清新な恋愛小説「1979年の夏休み」 1979年の物語。 「悪魔って悪い意味だけじゃないのよ。強いこだわりや信念を表してもいるの。だからつきあって」 そう言われて、つきあって別れた私が、同窓会で知った彼女の近況とは? 心に残る百合小説「下半身の悪魔」 その他「ピアノの音色と軽い地獄」「ボン・キュッ・ボン」の4つの短編小説を収録。 緒真坂の最新作品集。 めがね書林購入分のみ、音楽特典が付きます。
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小澤繁雄著 新装版 第一歌集老いなれば日乗
¥500
老いなれば富などいらぬ今日の日が無事にすぎればそれでしあわせ 戯れに恋という字を手に書けば想い懐かし青春の頃 亡き母のやさしき心を知りながら背きし日のあり老いて恥じ入る 身罷りし兄のからだを撫でながら思わず流る米粒の涙 令和3年末に逝去した、市井の歌人、小澤繁雄の第一歌集。
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【サイン本】妻くんといっしょ
¥1,342
この本は、大きく二つのパートに分かれている。「小説といっしょ」は郵便小説やメディアプラットフォーム・noteに発表した小説を集めている。「妻くんといっしょ」もまたnoteに発表した妻くんが出てくる文章を集め、さらに未発表の新作も収録している。 「妻くんといっしょ」の文章は、私が恣意的に文章にテーマをつけ、自分の思いを投影している。また、私の記憶違いもあるだろうし、デフォルメもある。まったくの客観などありえない。こうやって並べるとまるでコントのようである。記事を書くたびに、本人も「こんなことをいっていない」「これは私ではない」とぶーぶーいっている。 これらのエッセイは、事実50パーセント、フィクション(作者の思い込み)50パーセントぐらいの塩梅で、書かれているという気持ちで読んでいただければうれしいと思う。 巻末に鳥描き、橘鶫さんによる「鳥描きから小説家・緒真坂氏への一方的な書簡」を収録。
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【サイン本】郵便小説 ぴむぽむ 空豆少女
¥1,760
「ボブ・ディランとジョン・レノンでは世界を語れない」に続く緒真坂の最新中・短編集。 裏表紙の文字は、鏡文字になっています(印刷ミスではありません) 「高橋望叶」 女を知らない男の切ない恋物語。 「鬼門」 中年男の心情に、ふと影のようによぎる遠い青春の記憶。 「空豆少女」 ゲームセンターの対戦ゲームで、最強の僕に挑んできた女子高生の挑戦者。 「ぴむぽむ 石に花咲くな」 当時、高校生だったぼくは、偶然、ブログを書いている同学年の女子の存在を知る。ブログ名は「石に花咲く」。ハンドルネームはぴむぽむ。ブログを通じて、ぼくはぴむぽむのことが気になり出す。 ぴむぽむとは誰なのか? 「深夜の遊具」 大学時代、小説家志望だった私は、同じく小説家志望だった友人に、「深夜の遊具」というアイデアを聞かされる。そのアイデアがずっと私の頭にひっかかっていて、五十年後、コロナの嵐のさなかに、私はそのアイデアを使って小説を書き始める。 「R」 娘を殺された大学教授の父親。警察からの連絡を待つしかない父親は、やがて娘の事件の小説を書き始め、現実とフィクションの境目がなくなっていく。 「我風」 永井荷風、141歳。荷風は、恐れている。恐怖とはまさしく過去からやってくる、と。コロナの時代に、荷風が恐れている過去とは、何か。
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【サイン本】ボブ・ディランとジョン・レノンでは世界を語れない
¥1,760
「切望ブルー、ピンクフォトグラフ、イエローラブ」に続く緒真坂の新作。 中編2つ、掌小説1つを収録。 「ロボットです」 巨大な窓ふきロボットに起きたささやかな奇跡。 ハートウォーミングな掌小説。 「ボブ・ディランとジョン・レノンでは世界を語れない」 ある日、ぼくは松崎から謎の美少女の写真を見せられた。 「彼女の名前をおまえに調べてもらいたいのだ。おまえの彼女の女子高の生徒だろう?」 ぼくの彼女、真夏はヲタクでモテない松崎を毛嫌いしている。 ぼくは、真夏を通さずに、写真の超美少女の名前を調べようと決意する。 ぼくとぼくの彼女と、松崎をめぐる物語。 「十一月のスケープゴート」 私は、私立女子高に勤める若い女子職員である。秘かにネットのコミックサイトでBL漫画を発表している。が、サイトの運営から、これ以上過激なエロ表現をしたいのなら、別サイトに移ってもらいたいとの勧告を受ける。 そんなある日、奇妙な校内放送を耳にする。 教員の有給休暇申請書や生徒の診断書、文集、部誌等を駆使して、調べ始めた私は、ある衝撃的な事実に辿りつく。最後に、私が出した答えとは。 進学校の女子高校を舞台に展開する日常の謎ミステリ。
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【サイン本】切望ブルー、ピンクフォトグラフ、イエローラブ
¥2,178
スマホの充電が完了すると、透き通った満腹感が胃にわき起こる。きみは、そんな奇妙な感覚を持っている。 電池の残量と自分が浅く深くつながっている。 ある日、スマホの電池がぷつんと切れたことがあった。自分の息の根が止まったような気がした。あ。自分が死んだ、ときみは思った。 主人公の空葉は、高校の教師で、二十五歳である。イケメンだが、女はいない。そして童貞。音楽が好きで、独りでレコード屋に行き、ネオアコースティックの音源を収集している。 空葉は、勤務する高校で、名門野球部の部長のポストを与えられた。野球のルールもろくに知らないのに。仕方なく引き受けた空葉は、思いがけず、予算不正使用疑惑や選手の失踪事件に巻き込まれる。 やがて、空葉にも関係する、意外な結末が待っていた。 名門野球部を舞台に展開する、野球の試合がまったくない、二人称で書かれた青春野球ミステリー小説。 著者のサイン入りの本です。
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【サイン本】テイラー・スウィフトはいなかった
¥1,969
「君に届かない」に続く緒真坂の新作。 中編1つ、短編2つを収録。 2020年、巷ではテイラー・スウィフトが流れている。が、テイラーが生まれてもいなかった1970年代後半。あのころは、ピーター・フランプトンやボストン、エレクトリック・ライト・オーケストラが流れていた。 高校のクラスメイトは、ヘルメットをかぶり、マスクをして校門でビラを配っていた。私は透明人間のように生息し、詩を書いて投稿し、インベーダーゲームをしていた。 当時、高校生だった私が回想する「テイラー・スウィフトはいなかった」 テクノ・ミュージックが盛り上がった1996年。クラバーだった女子高校生が語る、新鮮で楽しかった日々。父親が倒れるまでは。レコード店アルバイト兼DJの彼氏、クラブ友だちのこと。音楽と仲間と愛と家族。いちばん大事なものとは、いったい何だったのだろう。 「ジェフ・ミルズがいた」 かつてDJだった男は、いま、SEをやっている。40代になり、髪の毛が薄くなり、太っている。生きる意味を見失い、この世を地獄としか思えない。わがままな生き方を貫いてきた男の現在の心境を語る。 「野中リユ」 1970年代後半、1996年、そして2020年。個人的な音楽史を描いた小説集。
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【サイン本】君に届かない
¥2,354
「アラフォー女子の厄災」に続く緒真坂の新作。 中編1つ、短編3つを収録。 「小説屋 平賀円内」 小説を完成させてはいるが、臆病な自尊心を持っているため、なかなか発表できない男に、ある日、一通のメールが届く。 「あなたの小説を読んで感動しました」 小説家志望の大型書店アルバイトの挫折と決意を描く。 「汁」 昭和34年に刊行された文芸同人誌「汁」の無名の覆面作家、花園地図。 たまたま家の書棚にしまってあったその作家の小説を読んだことから、「私」は作品に惹かれ、作家の秘密をさぐろうとする。 たどり着いた末に発見した、意外な顛末とは。 「君に届かない」 レコード店の息子、高校生の「ぼく」と向かいの本屋の娘、メイは幼馴染。メイの友人玻璃にストーカーがいるらしいとメイから相談された「ぼく」は、アイドルヲタクの小林から聞いた地域限定の女子高生投稿サイトのなかに犯人がいるのではないかと疑い、追い始めるが、物語は、意外な方向に転がり始める。 アニメ「君に届け」が放送されていた、2009年秋から2010年春にかけて起こったできごと。 決して君に届くことがなかった物語。 「グラスハープ」 南池袋でひっそりと営業している個人営業のコーヒー専門店、「グラスハープ」 店長は、学生運動世代の寡黙な老人だった。そこに美しい30代の「私」がふらっとアルバイトにやってくる。老人が過去を話し始めたとき、「私」の過去も明らかになっていく。 現実と妄想が混然一体となった幻想的な物語。
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【サイン本】 アラフォー女子の厄災 緒真坂著
¥1,019
次々厄災に見舞われるアラフォー女子、 三人の奮闘を描く、「アラフォー女子の厄災」。 人生に負けて帰省した男の心境、「ささやかな償い」。 夢を忘れない傷心の女性同人漫画家がお嬢様女子私立高校で、校内に起こった謎を解く青春ミステリ「別れの季節は三月だけとは限らない」。 ネットで話題になった小説3編を収録。 絵本のような、小説集。
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【サイン本】 スズキ 緒真坂著
¥734
第4回USEN朗読文学大賞奨励賞受賞作、「スズキ」。 35年以上もたって、小学校のころのぼくの同級生、スズキから電話がかかってきた。 宗教の勧誘か商品のセールスではないかと疑ったが、そういうことではない、とはっきりと口にしたので、会ってみることにした。 もんじゃ焼屋で、スズキから語られる凄惨な事実。いま明かされる新たな真実。 ぼくは思い出した。小学校時代の同級生にスズキが二人いたことを。 目のまえにいるスズキとはべつのスズキの凄惨な事件を。 大絶賛の中・短編集。 2013年、櫻門書房発行。新書版。212ページ。
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【サイン本】 極北 緒真坂著
¥1,019
孤独は数えられる。 インスタグラムに投稿している写真の数。それが、孤独の数だ。 高校生の藤本位置は、蒙古タンメン中本の、極辛ラーメン、北極の写真を毎日のように、インスタに投稿している。 クラスメイトの美少女とつきあい始めるが、彼女は、突如、フィンランドに留学してしまう。 半年後、彼女が死んだといううわさが流れる中、彼女の名前の詩が雑誌に掲載され始めるのだった…。 ―極北。私がいなくても、あなたがいれば。 清新な恋愛長編小説。 作中人物が書いたという体裁の超短編「ピアノ・レッスン」も収録。 2016年、櫻門書房発行。新書版。103ページ。
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【サイン本】 よろこびのなかにもかなしみが準備されている grief is ready in glee 緒 真坂著
¥1,019
早稲田文学新人賞最終候補作を下敷きにした長編小説。 父親のウワキを疑う女子高生の娘と彼女に振り回される幼馴染の男子高校生。 マリー・ローランサンの12枚のテレフォンカードと通り魔殴打事件。 天使すぎる美少女とタワーマンション群を徘徊するマスクをした変顔男。 ひきこもりの女子高生とラーメン二郎好きな男子高校生。 美しい夏の闇に包まれた炎の川と解散十年後の八月に約束どおりに再結成した女子ロックバンド。 クラスメイトの男子に電話をかけまくるウワキする男が大嫌い瞬殺美少女と本の昆虫とうわさされる図書委員長。 高校を舞台にしたちょっと残酷で、ちょっと胸がほっこりする物語。 「曜一の目のまえには、炎がゆらゆらゆれている。この世界にはたしかなものなんて何もない。この炎のようにゆらめき、そしてふっと消えていく。それもあっという間に。 美しい夏の闇に包まれながら、曜一とゴジラは炎の川を歩いていく」 ページの紙は、瞳にやさしいグリーンを使用し、カバーの裏には、超絶短編小説「少年少女A&B」を収録。 2015年、櫻門書房発行。新書版。191ページ。
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【サイン本】 アナログガール 緒 真坂
¥734
「でも、だからといって、何をされてもいい理由にはならないと思うのです。 Ape shall never kill ape. 猿は猿を殺さない。でも、人間は人間を殺すのです」 親友の彼氏との恋愛、親友と彼氏の突然の失踪、宗教団体の影、ネットのカキコミ情報、マイルス・デイビス「オン・ザ・コーナー」、アナログレコードのにおい、薄暮の時間の新宿アルタ、雨降りの葬式、ばらばら殺人事件。 真実を求めて疾走する希の目の前に、やがて意外な現実が立ち現れる。暗くて不気味な濃い霧のように。 「あなたが発した音に、私の音叉が共鳴して、鳴り出してしまった」 犯罪者の娘であり、また両親を惨殺された犯罪被害者でもある希が織りなすタペストリー、「アナログガール」 ほかに、 売れないロックバンドのライブ会場で、機材が盗まれる事件が、発生。その事件の裏にある、音楽と人生の問題を描いたミステリ「だって二十九といったら就職する年齢としては、ぎりぎりでしょう?」 彼氏の自殺によって、死んだように生きている女子バーテンダーの心の再生の物語、「コクー」の2編を収録。 2014年、櫻門書房発行。新書版。192ページ。