緒真坂が「信じるペットボトル」と題して、noteにエッセイを書きました。

　ペットボトルをよく買う。しょっちゅう飲んでいる。

　ここ数年、体形が気になっているので、飲みものにもうすこし気を使ってみようかなと思った。
　ドラッグストアーMKにいって、ペットボトルの棚を眺める。その資格がありそうなペットボトルがいくつか並んでいる。だが、その種のペットボトルは、高い。私がよく買うペットボトルの二倍以上の価格がする。ただ、出費もしないで、痩せようなんて、虫がよすぎる、というのが、現代社会の通念である。
　サントリー「KURO」とコカコーラ「からだすこやか茶W」を買い物かごに入れ、レジに持っていった。
「どちらのほうが、体脂肪を減らせますか？」
　試しにきいてみた。
「そうですね、どちらも薬ではないですからね」
　いたずらっ子っぽい目つきになって、白衣を着た、薬剤師のような係員がいった。
「味が、お好きなほうを飲めばいいと思います」
「はあ」
「そして信じることですよ」
「え。効果は、あるんですよね？」
　心配になって、私はいった。
「信じることです」